紫衣の決意を知ることが出来たのは、その日の放課後だった。


「話を聞いて欲しいの。」



石田と、その石田の横にベッタリと張り付くように並ぶ真衣。


二人の表情は対照的だった。


一瞬だけ悲しそうに顔を歪めた石田。


挑戦的な瞳で紫衣を睨みつける真衣。



紫衣はとても優しく穏やかな顔をしていた。




「あ、のね…
あの、ね…
その…
良君と真衣ちゃん、私のことは気にしなくていいからつき合って!」



一気に話した紫衣。


緊張しているのか頬を真っ赤に染めている。



「いいのッッ?」


弾む声で言葉を発したのは真衣。


どこまでも最低な女。

絶対にいつか痛い目見るからね!!
口には出さずに心の中だけで怒鳴りつけた。


落胆し肩を落とした石田には同情する。


だけど本人も言ったように自業自得…。


近すぎて気づけなかったんだね。

紫衣の大切さに…

紫衣とは正反対の真衣に惹かれたのは気の迷い?
新しい刺激?


だけど本当に欲しいものに気付けたのは…


迷ったから…。


遅かったけどね。