紫衣の部屋で2人学校や友達の事を話した。


写真を見ながらたくさんの思い出話をしたんだ。

三年間、長いようで…
だけど短かったと今では感じる。


「良君は?
病院に来てくれたけど、もう、ここには来てくれないのかな…。」


瞳を伏せて寂しそうに話す紫衣。


長い睫毛が彼女の目元に影を作っていた。



「石田に逢いたいの?
アイツきっと喜ぶよ。」

気持ちは複雑だった。


石田が真衣に揺れなければ紫衣は幸せに笑ってたんだ。

今でも笑えていたんだ。


「逢って話がしたいの。」


ポツリと呟きを漏らす紫衣。


「何の話?」


「良君に話さなきゃいけないの。」


「そう…。
それより、卒業旅行どうする?
私と紫衣は滋賀に行こうかって話してたの覚えてる?」


「滋賀?」


「紫衣の大好きな三成の城があった佐和山に行きたいって、紫衣が言ったんだよ?」


あの日の話はしちゃいけないって先生からも言われてた。


だけど不安だったんだ。

石田に逢いたいと話す紫衣を見て不安に思ったんだ。


もしも、あの日の事を思い出したら…


紫衣が今度は本当に壊れてしまうんじゃないかって怖かったんだ。


だからヒントを与えるくらいなら…


そう思ったんだ。


私と二人だけの時に思い出してくれたら、私が守るから!!


傲る気持ちがあったのかもしれない。


私しか紫衣を守れないって思っていたのかもしれない。


「三成に逢いたい。」


そんな紫衣の呟きに私は一気に話してしまった。


「真衣と結衣はネズミーに行きたいって言ってたでしょ?」


決して口にしてはいけないと思っていた名前。


真衣…。


紫衣は私の言葉にビクリと肩を揺らしたんだ。



「良君と真衣ちゃんに私謝らなきゃいけないね。」



だけど紫衣は以外な事を口にした。



紫衣は…


あの日の記憶がもどっているの?