車の中で何度もキスをして部屋に入ってから彼の為だけに用意したチョコレートを渡した。


「ありがとう、嬉しいよ」


そう言って喜んでくれる嶋田さん。


男の人には珍しく甘いの大好きな嶋田さんには目一杯甘いチョコレート。


包みを開けて口に一つ放り込んだ嶋田さんはそのまま唇を私に重ねた。


彼の為に作った特別甘いチョコをもっと甘くするキス。


2人の口の中で溶けるチョコのように私達も一緒に溶けそうなくらい甘いキスを交わした。



「今日はここに泊るから石野に連絡して紫衣ちゃんは向こうに泊って貰おうか。」



甘い夜を予感させる嶋田さんの言葉にコクリと頷いて気がついた。



「あっ!!でも紫衣のチョコレート家にあるんだよ」


「はぁ?」


「石野さんに頼まれたの。紫衣のチョコレートをコッソリ鞄から出しておいてくれって」


「なぜ?」


「なんかみんなの前で紫衣からのチョコを見せるのは勿体ないって言ってたよ」


「なるほど、そういうことか...」


「どういうこと?」


「みんなのチョコを断って紫衣ちゃんからだけ受け取るつもりだけど紫衣ちゃんがうっかり忘れていたらみんなの前で渡せないから見せることもないだろう?大した役者だよ石野の奴」


「そういうことなんだ」


「だけど、これを利用してちょっとは仕返しが出来るかな?」


「??」


「俺は芽衣にチョコを貰えなくなるかも知れなかったんだぞ!!」


あいつだけにいい思いさせてたまるかって言いながら携帯を耳に当てる嶋田さん。


「俺、今日はここに泊るから紫衣ちゃんそっちで泊るように言ってくれ。だからチョコレートは明日までお預けだ。自分で頼んだんだから仕方ないよな?」