尊敬できるお方の側に仕え、その寵姫を愛しいと思う。
手に入れる事ばかりが幸せではない。
「阿呆だしな…。」
「可愛らしい姫です。」
「どうしようもなく阿呆すぎ…。」
「常に一生懸命でお優しい心をお持ちです。」
「うぇっ!お前気持ち悪い…。」
「紅葉が素直でないだけでは?」
「冷静な殿と阿呆の紫衣は見てて飽きねぇ。」
「お守りするのが我らの役目。」
「あぁ、そうだ。」
これからも嫉妬を抱くこともあるだろう。
でも俺と同じ想いに苦しむ桔梗がいる。
「なぁ桔梗…。」
「なんです?」
「俺らって趣味悪くね?」
「それは殿への侮辱ですか?」
「あ゛………。
今のは聞かなかったことにしてくれ…。」
「忘れましょう。
明日には今宵のことはサッパリと忘れるのです。」
「そうだな…。それがいい。」