紅葉さんに連れてこられたのは屋敷の裏にある小さな庭だった。
「こんな所があったなんて知らなかった。」
小さくて、だけどとても綺麗に手入れされてる場所だけど大きな木が植えられていて、その木には無数の傷がついている。
「ここは俺達の訓練の場なんだ。」
「訓練って?」
「その木の傷は手裏剣やクナイを投げる訓練に使われている。」
「だからあんなに傷が入ってるんだね。」
やっぱり忍として日々訓練を欠かしていないんだと思うと急に紅葉さんに申し訳ない気持ちになった。
「ねぇ?五助さんや六助さんもここで訓練をしているの?」
「奴らはまだまだ一人前と呼べる忍じゃねぇからな。」
「そう…。」
だとしたら早くみんなに認められる忍になりたいよね?
「だからなの?
だから、香を焚いてたの?」
「お前なんか誤解してねぇか?」
眉をギュッと中央に寄せる紅葉さん。
「訓練がしたかったからじゃないの?」
「そうじゃねぇよ…。」
「だけど…。
「奴らは自信がなかったんだろ…。
護衛をするにもまだまだ修行の身、唯一奴らが収得している技と言えば桔梗や椿に教えられた薬草の知識のみ。
それを使って奴らなりに最善を尽くしたつもりなんだろうけど…」
確かにやり方は間違っているよなって紅葉さんは苦笑いを浮かべた。
「そう…。」
「実際俺らも今回のことには驚いたんだ。
桔梗でさえ香に気付けなかったんだぜ?
奴らいつの間にか成長してやがったんだな。」
そう言われて私もハッとした。


