「まぁ、これにて一件落着~!」
腑に落ちないままに、紅葉さんのどこぞの時代劇なの?とつっこみたくなるようなのセリフを聞いて、その場はお開きになった。
「けど、やっぱり腑に落ちないよ。」
みんなが部屋から去って一人部屋で呟きを漏らす。
「まだ、納得出来ねぇの?」
独り言を呟く私の背後には紅葉さんが立っていてニヤリと笑って私を見下ろしていた。
「!!………
音を忍ばせて近寄るのやめてよね!」
「普通だし。」
「普通っていうのは気配を消して人の背後に急に現れる人の事?」
「俺、忍だし。」
「はいはい…。」
紅葉さんと話すと余計にイライラが募る気がして話を切ろうとどうでもいい返事をしてやった。
だってやっぱりうまく丸め込まれた気がして仕方がないんだもん。
「もういい加減機嫌なおせよ。」
ツンと横を向く私の前に差し出された紅葉さんの掌。
「何?」
私は視線を向けずに言葉を落とした。
「連れてってやるよ。」
「何が?」
「安静っつっても退屈だろ?部屋に閉じこもって大人しくしてるなんて紫衣には似合わねぇ。」
「失礼ねっ!私だって…」
「行くの?行かねぇの?」
素直になれない私に紅葉さんの決定打とも言われる言葉が掛けられて咄嗟に紅葉さんの手を握った。
「素直じゃねぇんだから…」
してやったりな表情の紅葉さんには目を向けず、彼の言葉も聞こえない振りをした。


