絶叫する私にオロオロと近づく朱里さん。
「紫衣様、そんなに驚かれてはお腹の赤ちゃんにさわります。」
そう…
赤ちゃんもビックリしちゃうよね!
って―!
冷静になんてなれるもんですか!!
「今までずっと苦しんでたのはその香とやらのせいなのね!?
ということはこの2人の仕業なのね!?」
許せない!
許せないよ!!
「コラッ!
興奮するなって!!」
それでも冷静になれない私は紅葉さんにポカリとげんこつを落とされて
「痛いじゃない!」
涙目のまま紅葉さんを睨み付ける。
「けど、コイツらの言い分もわからなくねぇだろ?」
実際ちょこまかと動いてたのは事実なんだしって睨みをきかす紅葉さん。
「だからって、ひどいじゃない。」
それでも怯むことなく言葉を紡げば、
「調度重なったのですよ。」
私と紅葉さんの間に朱里さんが割って入った。
「重なった?」
「はい、悪阻の一番辛い時期はもう終わりに差し掛かっていたのではないですか?
昨日は香が焚かれていても食されていましたね?」
確かに昨日は無理してだけど少しは食べることが出来た。
「けどっ!…それはっ!」
「わかっています。
殿を安心させるために無理していたことも…。」
でも無理しても食べれたんですよって私の言葉を遮り、有無を言わせぬ朱里さんの言葉に私は納得させられて、
「そう…だよね?」
半分は納得しないままに言葉を返すと、
「そういうこと!」
五助さんと六助さんは声を揃えて言葉を放った。
なんかムカつく…。


