私を抱きしめているのはさっきまで平伏すように恐縮しまくっていた五助さんで、
「嫌だねっ!」
って、あれ??
話し方まで変わっちゃってるよ?
「兄ちゃんばっかズリィぞっ!」
「おぅ、わりぃ。」
「わぁ、姫様とってもいい匂いがするよ。」
ってあれ??
これって本当に五助さんと六助さん??
あんなに怯えてたのは何だったの?
「もう放せっつってんだろ!!」
お怒りモードの紅葉さんが私を引き寄せて五助さんたちから引き剥がしてくれた。
だけど私には何が起きたのか全くわからなくて...。
「どういうこと?」
一言尋ねるだけで精一杯だった。
「申し訳ありません、私から説明いたします。」
声をあげたのは朱里さんで、
「実は五助と六助はもう立派に忍者として紫衣様の警護にあたっておりました。」
「どういうこと?」
「この屋敷に来てからずっと彼らは姫様にわからぬように護衛として側にお仕えしていたのです。」
「全然知らなかった....。」
「紫衣にバレてるようじゃ、こいつら忍として失格だろ?」


