「いただきます。」
手を合わせてお茶碗を手に持った。
不思議なことに胸のムカムカが取れてスッキリしていた。
私を真ん中に両サイドには紅葉さんと朱里さんの席があり、五助さんと六助さんは私達3人の向かい側に座っている。
「朱里さん、どうしてかな?今日は食べられる気がするよ。」
朱里さんと紅葉さんに挟まれる形で座っているけれど、紅葉さんは朱里さんの一撃で一気に不機嫌になって、私は自然と朱里さんの方に体を向けて食事を進めた。
「それはようございました。少しずつ悪阻が良くなっていけばいいですね。」
ニッコリと頬笑みながら話す朱里さん。
その反対側では紅葉さんが小さく舌打ちをする。
ビクリと小さく肩が跳ねたけど、やっぱり紅葉さんに視線は向けずに黙々と箸を進めた。
だけど五助さんと六助さんの2人は全然食事が進まない様子で、
「食欲がないのですか?」
思わず尋ねる私に、
「滅相もございません。」
驚いた表情をした後胸の前で両手をフリフリと動かして否定すると頭をまた深く下げた。
緊張して食事どころではないのかもしれない。
そんなの辛いよね?
食事は楽しく美味しく頂けかなくっちゃ。


