廊下を走る紫衣を追った。


俺が泣かせたんだ。


一人で泣くな。




紫衣に追いついて手を掴んだ。



「紫衣、待てよ!」


「イヤッ放して!!」


「石田!!紫衣に触らないで!」




俺の手を振り払おうとする紫衣。



俺は必死になって紫衣を止めた。




その後ろからは芽衣の激しい声が俺に掛けられるが俺は紫衣を離さない。




勝手かも知れないけど俺の側で泣いてほしい。


その涙を拭うのは俺の役目だって思いたいんだ。



この手を離したら、もう紫衣は俺のところに戻ってこないかもしれないだろ?




今更何を言ってるんだって言われても俺は紫衣と手を繋いでいたいんだ。