朱里さんと紅葉さんが運んできた膳は5つ。
朱里さんと、紅葉さん、それにみんなとは別メニューで私の分の膳でしょ?
後の2つは?
キョトンと配膳を進める朱里さんの様子を見ている私に、
「2人新入りも一緒に引っ張ってきてやった。」
紅葉さんは開け放たれた襖に隠れるように立っている影に視線を向けながら言葉を落とした。
そして、大声を張り上げて、
「おいっ!そんな所でもじもじしてねぇで入ってこいよ!」
大きく手招きをする。
紅葉さんの声に反応して襖の影から出てきたのは若い男の人が2人、おずおずと部屋の中に入ってくる。
「緊張してんのか?
馬鹿みてぇに緊張してんのか?」
紅葉さんのからかうような声にその2人の男の人は俯いて耳を真っ赤に染めていた。


