「あのね?
一緒にご飯を食べたいって言おうとしてたの。」

顔はそのままでポツリと言葉を落とす。


そんな私の頭をくしゃくしゃと撫でながら紅葉さんは、


「そんなことかよ。」


彼らしい承諾の言葉をくれた。


「だって、桔梗さんが前に忍と一緒にご飯食べちゃいけないって言ってたから…。」


「本当は紫衣は一人で食べなきゃならないんだよ。
忍とか関係なくね?」


「そうなの?」


「一応?姫様なんだろ?」


一応ってのが気になるけど、素直に頷いた。


「だけど、殿が許して下さってるんだ。
城や屋敷では紫衣の自由にしていいんだよ。」


「うん。」


顔を上げてニッコリと微笑む私に、


「単純阿呆紫衣。」


スッカリ定着した意地悪な呼び名で呼ばれた。


でも、それって紅葉さんと私の距離が近いんだって思えてちょっぴり嬉しいんだ。