「行ってくる。」
私の頬を優しく撫でてから馬に跨る三成。
「はい。いってらっしゃいませ。」
私もニッコリと微笑んで三成を見送った。
彼の姿が小さくなるまでずっと門から見ていたんだ。
「阿呆紫衣、部屋に戻るぞ。」
痺れを切らしたような紅葉さんの声に導かれて部屋に戻る私。
なんだか今日は空腹感を感じる自分に少し驚いていた。
「ねぇ、紅葉さん。
今日は一日屋敷にいるの?」
「そうだけど。」
やっぱりちょっぴり不機嫌な紅葉さん。
「だったらお願いがあるの。」
私の言葉を聞いて紅葉さんは眉間に皺を寄せる。
「べ…別に無理難題ふっかけようって訳じゃないよ!」
焦りながら話す私に、
「どうだかな…。」
彼は横目で私をチラリと見て応えた。
ご飯を一緒に食べようってお願いしたかっただけなのに…。
だけど、それが私にとって普通のお願いでも紅葉さんにとっては無理なお願いになるのかな?
ぐるぐると頭の中で言葉が回っていた。


