嶋田さんがシャワーを浴びる水音が聞こえてきて呆けていた頭を一度ぶんッッと振ってから寝室のドレッサーの前でスキンケアを入念に、素早くすませて髪を乾かした。
彼が上がってくる前に準備を整えなきゃね。
絶対になにも起こらないなんてわかんないもんね。
自分を慰めるように心の中で話しながらテキパキ手を動かした。
だから彼がリビングに出てくる頃にはソファーに腰掛けてリラックスしているように見せることが出来たんだ。
彼と同じように携帯に集中してるふりをしてたんだ。
内心はね?
心臓が壊れちゃうんじゃないかってくらいドキドキしてて、息をするのも苦しかったんだけどね?
だけど、彼の姿を見て私の演技?演出?は一瞬で崩れた。
「キャーッッ!」
叫び声を上げながら両手で目を覆って、
「なんて格好してるんですかぁぁッッ!」
叫ぶ声が部屋に響いて、なのに嶋田さんは余裕綽々って言葉がピッタリな様子で優雅にソファーに腰掛けたんだ。


