廊下を走って教室を目指した。


教室のドアの前で一呼吸おいてドアに手を掛けたところで芽衣の声が聞こえてきた。



「真衣こそ紫衣にちゃんと話しなきゃいけないんじゃないの?
このまま卒業してうやむやに出来るような事じゃないでしょ?
アンタ最低だよ!
友達の彼に手を出すなんてホント最低じゃん!」




俺はドアの前に立ちすくんで動けなくなったんだ。



逃げていた俺は結局最悪な形で二人を傷つけてしまったんだ。






「芽衣ちゃん、ありがとう。
それから真衣ちゃん、ごめんなさい。
私、気付いてないふりしてたんだ。
ズルいよね。
本当は私が話さなきゃいけなかったんだよね。
怖くて逃げてて…
逃げてたからこんなことになっちゃったんだよね。」





紫衣の声が聞こえる。


無理するなよ!!


どうして泣かないんだよ!!



なんで紫衣が謝るんだよ.....。






逃げているのは俺...

逃げてきたのは俺なんだ。




自分の思いに蓋をしてきたのも、それで二人を悲しませてきたのも全部俺の優柔不断さが招いた結果なんだ。





ずっと黙っててくれた紫衣、正面からぶつかってきてくれた真衣。




それでも選べなかったのは俺なんだ。




誰も悪くない。



悪いのは俺なんだ。