逃げようとする私を抱き上げて歩き出す嶋田さんに連れてこられたのはマンションの裏にある駐車場。


来客用の駐車場には石野さんの車が止まっていた。


「どうして?…」


「なにが?」


車の中で私が口にしたのは疑問の言葉。


なにがどうなってるのか、状況に頭がついてきてない。


なのに逆に質問するなんて嶋田さんって優しくないよッッ!


「聞きたいことがあるならちゃんと聞け!
言いたいことがあるならちゃんと言え!」


感情的な彼の言葉にぐっと唇を噛みしめた。


言ったら困るのは嶋田さんじゃないの?!

優しい嶋田さんは女の子を無視なんて出来ないでしょ?!


いいえ…

困るのは私…

わかってて彼を選んだのに嫉妬を抑えられなくて、彼に嫌われたくなくて言えなかったんだ。

言ったら面倒だって思われちゃうんじゃないかって怖いから言えないんだ。