だから彼女の背中越しに俺は言葉を落としたんだ。


「俺も嫉妬した。」



俺の言葉に彼女は顔だけ振り向いて言葉を返してきた。



「お兄ちゃんはそんなんじゃありません。」




だけど彼女の口から俺の聞きたい男の名前は出てこなかった。



隠したいことなのか?






「きゃっ」


悶々としたまま彼女を抱き上げて寝室に入ると彼女をベッドに下ろしたんだ。


そのまま俺も彼女の横に並ぶようにして腕枕をして彼女の体を自分に引き寄せた。





紫衣の全てが知りたいとか、縛りつけたいなんて俺ってなんて格好悪いんだ。


嫉妬深い男をバカにしていた。


女に振り回される男を見て昔の俺は笑ってたんだ。


なのに今の俺は紫衣にドキドキして紫衣が全てで...

彼女を知りたくて彼女に振り回されて...

それでも離れられない。


離れたくないんだ。





「紫衣..格好悪いな俺...。」