スポンジをキュウキュウ握っては放しを繰り返して洗ったカップにたくさん泡を作っている紫衣。
楽しそうなその姿に暫く見惚れていたんだ。
だけど、あの洗剤って嶋田がバイト先の厨房からくすねてきた業務用の強力洗剤だ。
すぐに洗い流さないと紫衣の綺麗な肌が荒れたら大変だ。
「何してるんだ?」
俺の言葉に恥ずかしそうに泡を洗い流す紫衣。
「洗い物を...。」
「泡で遊びながら?」
少し意地悪をしたみた。
顔を真っ赤にして俯いてしまった紫衣。
こういうところはわかりやすくて可愛い紫衣。
俺はたまらなくなって紫衣を背中から抱きしめていた。
その時風呂にお湯が張り終ったという電子音が聞こえた。
風呂よりも今は良君とやらの正体を掴むのが先だ。
ホント小さい男…。
だけど気になるんだ。
紫衣のことは全部知りたい。
異常な独占欲。
まるで俺じゃないみたいだ...。


