湯船に溜まっていく湯を見つめたまま考えることは...


俺も男だって事。


俺の右肩に乗った天使の姿をした理性と左肩に乗った悪魔の姿をした欲望が本気で戦っている姿が頭に浮かんで俺は左右に頭をブンブンと振ってから風呂場から出たんだ。



どうかしてる...。


サカった中学生じゃあるまいし...。



この部屋に紫衣が泊まるなんて普通のことだよな?


俺たち付き合ってるんだから..。


そうなんだ。


なのに俺はオロオロしすぎなんだ。


ドンと構えてりゃいいんだ。




泊まり、二人っきりっていう事でいっぱいいっぱいになって舞い上がってた自分を冷静にするために今日のおさらいをした。



そして俺が今一番ハッキリさせなければいけないことに気がついたんだ。



良君。


コイツの存在を明らかにしなければいけない。



そう思うと自然と余裕が出てきた。



そして台所で片づけをしている紫衣にそっと近付いたんだ。