「俺、このまま芽衣の家に泊まるから、そっちもよろしくやってくれ。」



ありがとう親友。


心の中でガッツポーズした俺は呆然と玄関のドアを見つめる紫衣にそっと近付いて彼女を抱き上げた。


そのままソファーに腰掛けて彼女に声をかけた。



「芽衣ちゃん大成功だな。」



嶋田を煽ってお姫様抱っこ。


嫉妬深い嶋田の性格を熟知しているからこその作戦。


流石だ、芽衣ちゃん。




でも紫衣はそんな俺の言葉にも曖昧な返事をするだけで恥ずかしそうにモジモジしている。


そんな可愛い紫衣の反応は一気に俺を現実に引き戻した。


部屋に二人きり。


おまけに今日は紫衣はここに泊まるんだ。


紫衣の家には芽衣ちゃんと嶋田が....

帰りたいといわれても帰してやることは出来ないんだ。



一気に余裕がなくなった。


でもそんな自分の気持ちを悟られたくない俺は余裕タップリな演技をしたまま彼女に話しかけたんだ。



「二人になったんだ。これから時間はタップリあるし何をしようか?」