「石田と別れたのはどっちの紫衣の意志なの?」


「すごく考えたんだよ。だけどあの人と付き合っているときずっと紫衣は泣いていたんだよ。自由にしてあげなきゃいけないのに自分が目を逸らしていることをずっと悔やんでいた。だから紫衣ならきっと彼を自由にする道を選ぶんじゃないかって思ったからさよならしたの。」



テレビを見ながら嶋田と談笑していた時に飛び込んできた紫衣の声。



石田って誰だ?


別れたってことは付き合ってたんだよな?




俺をジッと見ている嶋田。


和やかに男二人でソファーに座ってテレビを見ている空気が一気に重くなった。





「お兄ちゃんはとても優しかったよ。独りぼっちの私の側にいてくれた人。
責任感が強くて思い荷物を一人で背負ったまま動けなくなっていたの。
そんなお兄ちゃんと過ごした時間は私にはとてもあたたかく気持ちのいい時間だった。
この世界に来てお兄ちゃんがとても酷い人に書かれているのを読むたびに少し腹が立ったよ。」



三成と過ごした時間か....。


聞きたくないのについ聞き耳を立ててしまう。



俺の隣に座っている嶋田も同じように耳を澄まして二人の会話を聞いていた。



テレビなんて全く見ていない。


それどころかテレビから流れてくる音声が邪魔だと感じていたんだ。