紫衣の笑顔の裏には真衣の涙。
真衣の笑顔の裏には紫衣の涙。
どうしたらいいかわからなかった。
俺には決める事なんて出来なかったんだ。
二人を笑顔にする方法なんてないのに、探したいって思ったんだ。
優柔不断な俺。
結局はその優柔不断さが二人を苦しめているのに…
決められなかったんだ。
黙り込む俺を気遣ってくれたのは傷つき涙を流していた真衣。
「ごめんね。
さっきの事は忘れてくれていいよ。
良君を欲しいなんて嘘。嘘だから…。」
本気にしないでね、からかっただけだよってクスクスと笑った後電話を切った真衣。
それが嘘だということくらい俺にわからないはずがない。
自惚れている訳じゃない。
だけど真衣の嘘をわからないほど鈍感じゃない。
全部わかっているのに一歩も動けなかった。
結局何も決めることが出来ないままだったんだ。


