紫衣の涙は更に溢れ出していた。
決壊するように流れ落ちる涙を拭うこともなく三成を見つめている紫衣。
「紫衣...。」
「おにいちゃん!!」
お互いの名前を呼び合うその声にも二人の間には愛が見えたんだ。
「久しいの。」
「うん。」
「元気だったか?」
「うん。」
三成の言葉にも涙が邪魔するのか返事を返すことしかできない紫衣。
震える体を俺は必死で支えた。
「苦労を掛けてすまなかった。」
眉間に深い皺を寄せて苦しそうに声を掛ける三成に紫衣は叫ぶように答えた。
「苦労なんて思ってない!苦労なんて何もしてないよ。」
「俺のせいでお前は...紫衣は...。」
「紫衣も大丈夫だよね?だって、さっき池に映った紫衣はとても幸せそうだったよ。
お兄ちゃんにちゃんと愛されているんだね。」
「.......。」
「私も幸せだよ。お兄ちゃんにずっと愛されているんでしょう?
完全な転生ができなかったのは石野さんのためだけじゃなく私のためなんでしょう?」
「.......。」
そうだよ三成。
お前そんなこと言うために紫衣を俺に連れてこさせたのか?
ふざけんじゃねぇよ!!


