「逢えただろ?」
池の中には紫衣と三成の仲睦まじい姿だった。
ってか...。
時代劇のキスシーン...。
髷にキスはいまいち似合わねぇ...。
でも幸せなんだって一目でわかるくらい二人とも甘い表情をしていた。
信頼しきっているような顔してさ。
そんなに視線絡めあって見つめあうんじゃねぇよ!!
羨ましい...。
ポツリポツリと雨のように降るのは紫衣の涙。
池にポトポトと零している。
俺は彼女の頭を自分の胸に押し付けるようにして腕の中に閉じ込めた。
「どうして?」
なぁ、紫衣。
その涙、どんな気持ちの涙なんだ?
妬いてるのか?
喜んでいるのか?
お前は二人を導くためにこっちに来たんだろう?
その涙はいったいどんな気持ちで流しているんだ?
寂しくなった。
そしてやっぱり怖くなった。
紫衣は本当に俺のものなのか?
三成にその手は繋がれたままなのか?
なぁ、三成
お前そこで余裕ぶった表情してんじゃねぇよ!
俺から紫衣を奪うつもりなのか?
そんなことないよな?
俺はお前の半身。
お前が俺を悲しませるようなことするわけないよな!
でも俺もお前を悲しませたくねぇんだ。
お前が紫衣を必要とするなら...。
俺....。
この手、放さねぇとな...。


