依然一度だけ池に俺の知らない世界が映った。
芽衣ちゃんと嶋田にそっくりな二人が映っていたんだ。
それが芽衣ちゃんと嶋田ではないと思ったのは着ているものだった。
まるで時代劇。
髪型も身につけているものも全てが時代劇の世界だった。
だけど仲睦まじい二人の姿をこの池で見てから二人はつき合うようになった。
この池は不思議なものを見せてくれる。
だから今日もきっと紫衣は池で何かを見る事になるんだろう。
確信は持てないが、なぜかそう思ったんだ。
「調度良かった。」
俺を不思議そうに見る紫衣。
「今日って新月だろ?」
空を指差しながら話す俺に益々困惑したような表情を深くする紫衣。
クスクスと笑い声をたてて笑う俺の耳に響く三成の声
「池に紫衣の逢いたい人がいる。」


