彼女からの返事は質問だった。
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
俺が意気地がないから...。
そうは思っても答えられない。
でも...。
もう話さなければいけない。
逃げてばかりいても仕方ないよな。
「俺さ、三成が好きなんだ。というか...命の恩人?とか思ってる。」
彼女の表情は俺からは見えない。
だから誤魔化すようにおかしいだろって言いながら乾いた笑い声を上げた。
「お兄ちゃんを知っているの?」
「紫衣に話したいって思ってた。ずっと話したかったんだ。
だけど話すのが怖くて今まで話せなかったんだ。」
「それは....。」
どういう意味なのか今の俺には尋ねられても答えられない。
三成と俺の話しをまず聞いてくれ。
そう思った俺は紫衣が言葉を繋げられないようにギュッと彼女の体を抱き寄せた。
ドキドキと音を立てる心臓、紫衣にも伝わっているだろう?
このドキドキは情けない俺の恐怖に震える鼓動と、三成のお前に逢える喜びの行動が混じっている。
その証拠に俺の耳の奥で響く彼の声は俺をせかすんだ。
早くしろと彼は俺に言葉を掛けるんだ。
わかっている!!
わかってるよ...。
だからもう時間稼ぎも終わりだ。
俺の全てを、今までの俺と三成の全てを紫衣に話すよ。
その間だけは俺に時間をくれよ。
な、三成...。
「俺の半身は三成のものだ。」
「え?」
「黙って聞いて...。」


