だから俺は決めた。
三成の声の通り、あの池に紫衣を連れて行く。
それが彼女のためなんだ。
そうだよな?
三成.....。
店を出てから公園に向かう俺の隣には紫衣。
帰るときには俺は一人かもしれない。
俺にとっては不吉すぎる、その考えを打ち消すのに必死だった。
足が地に着いてないようなフラフラとした足取りになっている。
行きたくないと言ってしまえば楽なのに...。
連れて行かないで何もなかったように過ごせれば楽なのかもしれない、そう思いながらも結局俺が決めることではないと自身の考えを打ち消す。
「ここ、一人でよく来るんだ。」
近くのベンチに座って紫衣に話しかけた。
ありえないくらい早く打つ心臓の音が耳の奥に響いている。
俺の様子がおかしいと感じているのか動けない紫衣の手を引いて俺の膝の上に座らせた。
「キャッ」
俺の急な行動に驚いたように声を上げた紫衣、ジタバタと暴れる紫衣のお腹に手を回して後ろからギュッと抱きしめた。
「放して下さいよー!!」
声が震えている。
きっと瞳には涙を浮かべているんだろうな。
だけど離れたくない。
紫衣を放したくはないんだ。


