だけど紫衣と一緒に言った小料理屋で食事を取っているときに思ったんだ。
その小料理屋は古くて、お洒落とか感じいいとか、そう言う言葉とは縁の遠いような店で....。
だけど店主のおばあさんの作る料理の味は絶品なんだ。
素材を引き立てるような素朴に調理された料理。
俺のお気に入りの店なんだ。
きっと紫衣も気に入ってくれるだろう。
そう思ったからここに連れてきた。
彼女の生活していた時代でも食べていたような料理。
そんな懐かしい味を彼女に食べて欲しかったんだ。
「たまにはこういう素朴な料理も美味しいだろ?」
「はい!!とっても美味しいです。」
弾けるように言葉を返してきた紫衣。
やはりここの料理は紫衣の口にあうんだと嬉しく思った。
でも、その反面悲しくもなった。
懐かしい味を堪能する彼女の幸せそうな顔。
彼女は俺の側で生きるよりも三成と一緒にもとの世界で生きる道を選んだ方が幸せなのかもしれない。
その方法は俺にはわからない。
それが可能なのか不可能なのかもわからない。
知っているのは三成、お前なんだろう?
彼女を手放すなんて考えただけで体が震えるほどつらい。
だけど...。
もしも本当に帰りたいのなら、彼女が帰りたいと思っているのなら俺は手を離すべきなんじゃないか...。
そう思った。


