だが佐和山は俺に教えてくれた。
勝つことだけが全てではないと...。
俺は佐和山をよく訪れるようになった。
俺の半身がここにいるような気がしてならない。
生まれたときに俺の魂は一人で生きることが出来なかったのかもしれない。
その俺に魂の半分を分けてくれた男が夢の中の男なのかもしれない。
乗っ取られた訳じゃないよな?
俺もちゃんと存在する、そう思えるのはここに止まる俺の半身が教えてくれる。
助けてくれたのか?
死にゆく俺をお前の魂の半分を注いで助けてくれたんだろう?
そんな風に考えるようになった。
でも夢の中で何度も問う俺にお前はいつも笑ってくれる。
助かってよかったと笑ってくれるんだ。
だからあながち間違ってないと思えた。
なぁ、お前三成なんだろう?
確信は持てないがきっとそうなんだろうと思う。
なぜそう思うのか俺にもわからないけど思うんだ。
佐和山にくると切なくなるのはお前が苦しんでいるからなんだろう?
泣きたくなるのは俺の中のお前が悲しんでいるからなんだろう?
夢を見るようになって俺は三成に興味を持った。
父さんの歴史の話を理解しようとせず耳を貸すこともなかった俺が知りたいと思ったんだ。
「佐和、歴史の面白さがわかったのか?」
嬉しそうに父さんが聞いてくるのが照れくさい。
「別に...。」
そうやって素直に言葉を返せない俺に父さんは笑いかける。
全てわかってくれている。
俺の素直じゃない心も言葉も父さんにはわかってもらえるんだ。
その事がとてもありがたいと思った。
ついこの間まで鬱陶しいと思っていた両親にとても感謝できるようになったんだ。
夢の中で三成と話すことで大切なことは何か教えられた。
直接彼の言葉で教えられたのではない、彼と出逢って気付かされた。


