強引に真衣との電話を切ったんだ。



きっと紫衣からだ。



「紫衣?悪ィ、さっき電話出れなくて…」



「いったいアンタは誰とそんなに長く話してたの?紫衣のこと放っておかなきゃならないくらい大切な電話だったの?」



飛び込んできたのは芽衣の声。



「なんだよ!いきなり。お前には関係ないだろ!」



芽衣の言葉はやましさいっぱいの俺の心をグサリと貫いた。


それでも俺は芽衣に反論するように言葉を投げたんだ。



「紫衣を泣かせたらただじゃおかないから!!
石田!アンタ最低だね。私が何も気付いてないと思ってるの?アンタにとって大事なのは何?紫衣じゃないなら紫衣から離れなさいよ!
中途半端で…
アンタなんて最低だよ!」




ブチッと切れた電話。


グラリと揺れる体。


俺は終話音しか聞こえてこない携帯を耳から放すことが出来なかった。



わかっている。


わかってるんだ!


俺にだってわかってるんだ!






このままじゃダメだってことくらいわかってるんだよ!