カポカポと響く蹄の音。


それに混じるのは左近様の溜息の音。



「どうされたのですか?」



「朱里は結局のところ妻が俺につけたお目付け役ってことだろう?」



「そうですよ。」



肩を落とす左近様を睨みつけて言ってやった。



あんな素敵な奥方様がいるのに他の女の人にちょっかい出すなんて許せません!




「俺を待っている色とりどりの華にはもう逢えないのか...。」



大袈裟な溜息と共に吐き出される左近様の言葉。



出てくる前に奥方様から聞いた通りのことを話し出した。


だから奥方様に言われたとおりの言葉を返した。



「華を愛でることはいくら朱里が側についていても止める事はできません。ただ、その華を左近様は心から欲しているわけではないのです。」



って奥方様が言ってましたって言葉の続きは心の中でだけ呟いた。




ギョッとする左近様。



その反応も奥方様が言ったとおり。





だから言ってやった。


左近様の馬の横を通り過ぎながら...



「左近様の考えていることは奥方様は全てお見通しですよー!」