私のとりとめのない話を彼女は黙って聞いてくれた。
「その髪はあなたの大切な人のものなのね。」
「とても綺麗な紙に包みなおしてもらってありがとうございます。」
彼の髪を包んでいたのは彼の体内の毒を消すことの出来なかった毒消しを包んでいた紙。
頭を深く下げる私に彼女の手がのせられた、そしてゆるりゆるりと私の頭を撫でてくれる。
「つらかったわね。よく頑張ったわね。生きていてくれてありがとう。」
彼女のあたたかい言葉は春牙の言葉。
きっと彼女は春牙の心を口にしている。
堪えきれない嗚咽が口から漏れる。
「泣いていいのよ。だけど明日からはシッカリと生きなさい。あなたは生きなければいけないのでしょう?」
「はい。」
今日だけだから、明日からは泣かないから。
彼女の胸に縋りつくようにして抱きとめられ、私は泣き続けたんだ。
そして眠ってしまったんだ。


