「私、アンタが好きなんだ。」



紫衣の友達の真衣。



紫衣とは正反対で思ったことは何でも口にするハッキリした性格。



モジモジ俯き、すぐに頬を真っ赤に染める紫衣とは違い俺にまっすぐな視線を向けてくる。



その瞳の強さに俺は少しずつ惹かれていったんだ。



「俺、紫衣を悲しませたくない。」


グラグラと揺れる心を押し殺して俺は真衣に言葉を返した。



「知ってるよ。だけど私の気持ちも知って欲しかったんだ。
紫衣と石田の仲を裂きたい訳じゃない。
ただ、私の気持ちをアンタに伝えたかったんだ。」



ハッキリとした言葉、強い眼差し。



俺は紫衣を守りたいと思いながら、毎日かかってくる真衣からの電話が少しずつ楽しみになり、次第にその電話を待つようになった。