「ベリル!」

 先ほどハンドガンで脅しをかけた男は、懐かしい友人に再会した笑顔でベリルに手を上げる。

「ジェイク」

 同じくベリルも笑みを返し、成功の喜びに互いの拳を軽く当てた。

「電話のやつか」

 ベリルが呼んだ名前にアレウスは眉を寄せる。

 ガタイの良い三十歳ほどの男は無精髭(ぶしょうひげ)(たくわ)え、ブラウンの髪はバサバサで彫りの深い顔立ちに青い目が小さくも見える。

 茶褐色のミリタリー服を着こなし、それがジェイクという男には実に相応しく思えた。ベリルに比べれば、あれこそが傭兵なんだろうと納得する。

 男と並ぶとベリルはまるで子供のようだが、青年の体はそれなりに鍛えられていて小柄ではあるものの決して小さいという訳ではなかった。

 仲間の中にあって、ベリルの存在感はその体格にあまりあるほど一際(ひときわ)、強烈に放たれている。