相手の警戒は異常とも言えるが、一人でここまで闘ってきたベリルへの評価でもある。
「私一人に、そこまで警戒する事もないだろう」
そんな言葉にも、男たちは険しく銃口を突きつけた。
「一人とは限らないがね」
つぶやいた瞬間──男たちの背後の地面が盛り上がり、それに対応する間もなく武装した集団に取り囲まれる。
「──!?」
一斉に向けられる銃口に声を詰まらせた。
どう見ても数で負けている。この状態では対処のしようがない。
「武器を捨てな」
大柄な男が鋭い視線で拳銃の銃口を向ける。
どうすればいいのかと戸惑いを見せたが、隊長とおぼしき男がライフルをゆっくりと地面に置くと、他の男たちもそれに次々と従った。
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※掩撃:小部隊で敵の不意に乗じて襲い撃つこと。ふいうち。掩襲。