相手が一人だからと過小評価してこれまでの結果があるのだから、中隊くらい使ったっていいと思うんだけど。

 広いんだから多少多すぎてもいいだろう。誤って対象を殺さないための策かもしれないが、そこはやりようでどうにでもなる。

 そうなると、相手もやりようで沢山、殺せる訳だけどさ──そんなことを考えてキリアは、沢山殺せるっていいなとふと思った。

 仲間の安否など、この組織の人間が気にかけるはずもない。

「素晴らしき傭兵の名が、伊達じゃなければいいんだけどな」

 片肘を突き、上品とはほど遠いニヤけた笑みで目の前のディスプレイを視界全体で捉える。

 とはいえ、たった一人で武装している小隊を相手にするのは難しい。さて、こいつはどう出る?

「こっちの動きを、どれだけ読んでるかだな」

 夜襲は失敗したようだし、なかなか楽しませてくれそうだ。

 自分ならばどう動くかと頭の中でシミュレートしつつ、ベリルに期待を持って笑みを浮かべた。