「国家機密プロジェクトか。これは関係ない、な──?」

 いや、待てよ? キリアは身を乗り出した。

「設立は四十年前。二十五年前に実験が成功。その十年後に研究所が何者かの襲撃を受けて実験体は死亡?」

 これは偶然の一致なのか、奴が生まれた年に実験が成功し、十五歳の時に施設が襲撃されている。

「何の成功なんだ?」

 乱雑に並べられているデータを必死で目で追う。実験体の死亡により、途中で頓挫(とんざ)した研究のデータをまとめる気など、A国には無かったのだろう。

「へえ! こいつは驚いた」

 キリアは探し当てたデータに驚嘆(きょうたん)した。

「これが本当だとしたら、とんでもない実験だぞ」