白衣を着たひょろ長い男は、言われたデータをキリアの前にあるディスプレイに表示する。この組織は、各国の情報や機密データを少しずつ盗み出しては集めている。
「あれ、変だな。何も出てこないぞ」
「え? そんなはずは──」
キーワード検索が出来るようにプログラムされているデータの中に、ベリルのデータが一切出てこない。
昨日、今日に産まれたのなら仕方がないにしても、二十五歳の青年の何もかもが出てこないなどあり得なかった。
「ああん?」
キリアは首をかしげた。こんな事は初めてだ。
全ての人間のデータを集める事は不可能だがしかし、それなりに名を上げている傭兵ならば、ある程度の情報は集められて然るべきだ。
「十五でいきなり名前が出てきた?」
唐突に十五歳で湧く訳がない。ノースカロライナとあるが、保護者も同じ出身か。それに、養子にはなっていない。
本当にこいつ、ノースカロライナの出身なのか?



