それには応えず、キリアは紙にある文字を読み始める。

「ノースカロライナ出身。二十五で職業は傭兵。記録にあるのは十五くらいからだな。二十歳の時に、素晴らしき傭兵という通り名が付いた──と」

 組んだ足を子供じみて振り、小さく唸りながら思案する。程よい筋肉と鋭い眼差しは戦い馴れした者のそれであり、隠しきれない血生臭さが透けて見える。

「大した作戦でもないだろうに──。なるほど、皮肉から付けられたのか」

 テロリスト相手に慈悲なんて、そりゃあ馬鹿にもされる。ディスプレイに表示されている文字に薄笑いを浮かべた。

 作戦は成功したようだけど、余計な優しさは偽善でしかない。こいつはまだ甘い若造だな。

 才能があっても俺に比べれば経験は浅い。

「よしと。十歳くらいから調べていこう。マイク、こいつの十五年前のデータを出してくれないか」

「解りました」