──とある平地の上空に飛行機の音が響き渡る。

 暗闇に人の気配はまるで無く、静まりかえっていた荒野は虫の音でさえ地表に近づくエンジンの音に黙り込んだ。

 深い緑に塗られた大型輸送機は低空で飛行し、速度をゆるめて着陸する。

 およそ、旅客機とはほど遠い太い胴体にある扉はコクピットに小さいものが一つと、後ろには大型車も出し入れできるほど大きく開くものとがある。

 着陸してすぐ、後ろのハッチが開き武装した男たちやジープ、ホロを付けたトラックが数台、吐き出されていく。

 それらは赤い砂漠に適した色合いをしており、降りてきた男たちは立ち止まって小さな手持ちの明かりを頼りに、装備している武器を暗闇で確認する。

 全て降りた事を認めた輸送機は着陸したときと同じく、ゆっくりと離陸した。エンジン音が遠ざかり、影たちは月夜の空を仰ぐ。

「よーし! 準備にとりかかれ!」

 一人の大柄な男が命令を伝えると、十五人ほどの影は一斉にジープやトラックに地面と同じ色をした布をかけていく。

 そのうちの数人が数十メートルほど離れた場所を入念に調査し、良しと判断したのか地面に穴を掘り始めた。

「急げよ~」

 男は作業している仲間たちを急いて、北に視線を向けた。