その夜、

「どうだ。──そうか」

 ベリルは車の窓から空を見上げてジェイクと通話を交わす。

「では頼む。ポイントは──」

 そんなベリルの様子を、ミレアとアレウスは遠目で眺めていた。オレンジの炎は二人の顔を暖かく照らし出す。

「そういえば、どんな通り名か聞いていませんね」

 時間をもてあましたミレアは、思い出したように口を開く。通り名は自分で付ける者もいるそうだが、ベリルはそうではなかったらしい。

 求めてもいない通り名をつけられたのだから、彼の行動は善くも悪くも目を惹いたのだろう。