「お前は追いはぎか」

 車から出て終わったことを確認に来たアレウスが呆れて眉を寄せる。

「ミレアは」

「外には出ないようにと言ってある」

 こんな場面を見せられるものか。

 ミレア様を車から出さなかった事は正解だったと胸をなで下ろした。

 死体を見せるのも避けたかった。

 己のために流される血と、人を殺すベリルを見て悲しまないはずはない。

 ミレア様はまだ、十七歳の少女なのだから。