その夜、ミレアとアレウスは早くに車の中で眠りに就き、ベリルは炎の番をしながらウトウトしていた。

 いつしか炎は消えかかり、薄暗がりから暗闇へと変わっていく。

 その暗闇から、足音を忍ばせて五つほどの影がベリルに近付いてきた。

 その手に減音器(サプレッサー)を取り付けた拳銃(ハンドガン)を持ち、厚手の黒い服とポケットの多いベストに身を包んでいた。

 背中にはライフルを提げ、いずれも武装している。

 顔にはナイトビジョンゴーグルを装着しているため、個々の区別はあまりつかない。

 影たちは音を立てないように目標のすぐそばまで距離を詰めると、ベリルを取り囲み無言のまま銃口を向けた。