──ベリルたちはダーウィンからアデレードを目指し三日目の野営を始めた。北から南、まさに端から端に縦断する形だ。

 乾燥した荒野に転がる朽ち木を投げ入れると、炎の中でパチパチと音を立てる。見渡す限り明かりはまったく見えない代わりに、空は溜息があがるほどの美しさだった。

「眠れないのか」

「はい」

 夜食を終えて炎の番をしているベリルの背後からミレアが近づく。

 ふと、アレウスに目を向ける。彼は車の荷台で星空を見上げていた。

 少女は相変わらず何を考えているのか解らないベリルの表情に少し躊躇いつつも、彼の腰掛けている椅子代わりの倒木にちょこんと腰を落とした。

 並んで座った二人は、しばらく無言で暖かな炎を見つめる。