「もう少し」
ペロリと唇を一度舐めると、息を殺して引鉄を絞る。
一キロメートルほどの距離なら、およそ二秒で弾丸は到達する。50口径(12.7ミリ)弾ならではの到達速度だ。
「当たった」
続けざまに二発目も命中し、ヘリがふらついた。どこに当たったのか正確には解らないものの、煙をあげてよろよろと高度を下げていく。
「乗れ」
「撃ち落としたのか」
アレウスは、視界から消えていくヘリを見やり車に乗り込む。
「いいや、不時着した」
まともには動けなくなったはずだとドアを閉める。
「さて。次はどう出るか」
その口調は、半ば楽しんでいるようにも感じられてアレウスは眉を寄せる。そしてふと、後部座席に目をやるとミレアが身を縮めていた。
「大丈夫ですか、ミレア様」
「ええ……。大丈夫、です」
少女の声は、走る車のエンジン音にかき消されそうなほどか細くアレウスの耳に届いた。
†††
-----
※相仕:ともに組んで事をする者。仲間。相棒。
ペロリと唇を一度舐めると、息を殺して引鉄を絞る。
一キロメートルほどの距離なら、およそ二秒で弾丸は到達する。50口径(12.7ミリ)弾ならではの到達速度だ。
「当たった」
続けざまに二発目も命中し、ヘリがふらついた。どこに当たったのか正確には解らないものの、煙をあげてよろよろと高度を下げていく。
「乗れ」
「撃ち落としたのか」
アレウスは、視界から消えていくヘリを見やり車に乗り込む。
「いいや、不時着した」
まともには動けなくなったはずだとドアを閉める。
「さて。次はどう出るか」
その口調は、半ば楽しんでいるようにも感じられてアレウスは眉を寄せる。そしてふと、後部座席に目をやるとミレアが身を縮めていた。
「大丈夫ですか、ミレア様」
「ええ……。大丈夫、です」
少女の声は、走る車のエンジン音にかき消されそうなほどか細くアレウスの耳に届いた。
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※相仕:ともに組んで事をする者。仲間。相棒。