「よし」

 スコープでそれらを確認し、風が治まったときを見計らい引鉄を絞る。

 銃弾を放った数秒後──

「当たった」

 アレウスの言葉の通り、対象が倒れるのをスコープで視認した。

「乗れ」

 そう呼びかけ、荷台から降りて運転席に乗り込む。

「な、なんですの?」

 着替えを済ませて外に出ようとしたミレアは、続けて助手席に乗り込んできたアレウスに驚く。

「移動だ」

「全員やらないのか?」

「一人を撃てば警戒する。当たる場所にはいかんよ」

 無表情に答えて車を走らせた。

「何かありましたの?」

 大きな破裂音が屋根からしたけれどと怪訝な表情を浮かべる。

「いえ。大したことではありません」

 怖がらせるのもどうかと思い言葉を濁す。

「これで相手の動きが少しは読める」

 アレウスたちは自分たちが狙われている理由を理解はしているけれど、それがどこの誰か、どの組織かまでは解っていない。

 本当ならば捕まえて吐かせたいところだが、まともに接触するのは今は避けた方がよさそうだ。傭兵として培ってきた経験と勘から、ベリルはそう判断した。