──太陽が顔を出して数時間後、ミレアは静かに目を覚ます。

「おはようございます」

 伸びをしている少女に助手席からアレウスが声をかけた。

「おはよう」

「俺は外に出ています」

「ありがとう」

 ミレアの着替えのために外に出ると、ベリルが双眼鏡で辺りを窺っていた。

「あれかな」

 ベリルは口の中でつぶやき、およそ八百メートルの距離にある何かを確認する。丁度、車の鼻先にいる。

 荷台に乗り、屋根(ルーフ)に肘を乗せて再び覗き込む。

「やはり辿られていたか」

 苦い顔になる。

 おそらく、街を出るまえ辺りから追尾されていたのだろう。推測しながら荷台のビニールシートの中に手を突っ込んだ。

 数秒後、シートから出てきたその手には、スナイパーライフルが握られていた。

 あの中は武器だったのかとアレウスは目を丸くする。武器の種類までは解らないものの、長い形からライフルなのだろうと窺える。