──夜も更けて、ミレアは眠気に目をこする。

「あの、どこで寝るのですか?」

「車の中だ。毛布は自由に使え。後部座席を使っていい」

 初めてのことに戸惑いつつも横たわる。後部座席は少女の体を充分に包み込む広さがあり、すぐに深い眠りに落ちた。

 それを確認したアレウスも安堵して助手席の背もたれを倒し目を閉じる。

 ベリルは炎の番をするからと一人、焚き火の前にいた。

 時折、パチパチと散る火花を見やり、星空を見上げて目を閉じる。そうして、何度かゆっくりと深呼吸を繰り返す。

 それはまるで、大地の力を吸収しているかのようだ。

「あの発信器──辿られていなければ良いが」

 表情を苦くして、ささやくようにつぶやいた。

「さて、どうしたものかな」

 狙われている理由もわからなければ、敵の顔もまったく見えない。何もかも解らない事だらけの現状で何をどうすればいいのやら。

 これまでの経験と知識で、果たしてどこまでやれるのか。ベリルは計りかねていた。