そのときに負った怪我がもとで傭兵を引退せざるを得なくなったのか。

 そこでカイルは、一人前や独り立ちについて特に決めていた訳じゃないけれど、区切りとしてベリルの独り立ちを仲間の一人と見届けることとした。

「いつですか?」

「十八かな」

 それまではパートナーとしてこなしていた仕事を突然、全部一人でやれと放り出されて戸惑いがなかった訳じゃない。

 傍で見ていたやり方を自分なりに整え、今ではそれなりに多くの要請が来るようになっている。

「大変でしたのね」

「そうでもない」

「道を外れるのか?」

 ふいに道路から外れた車に、アレウスは怪訝な表情を浮かべた。

「ポートオーガスタまでは道を走らない」