──鮮やかな夕日が大地を染める頃、ベリルたちはとりあえずの最終目的地であるアデレードを目指してダーウィンをあとにする。
「きれい」
これからが大変だというのに、呑気なものだとベリルは小さく溜息を吐いた。アデレードは南にあり丁度、オーストラリア大陸をくだっていくことになる。
とはいえ、車の進入が禁止されている自然公園は迂回するしかない。
ミレアを追いかけていた男たちの動きから、それなりの組織だろうという予測まではついた。彼らにとってよほど重要なものだという事も、狙われている理由を話さない事から見て取れる。
そうして、いつしかぽつりぽつりと建物が姿を消し、赤い大地がほとんどを占めるようになった。
「建物がなくなりましたね」
「オーストラリアのほとんどは荒れ地なんだよ」



